墓じまいの費用はいくら？相場・内訳・補助金と安く抑えるコツ

墓じまいを検討している人の多くが、最初に気になるのが「費用はいくらかかるのか」という点です。
実際には、お墓の場所や大きさ、撤去工事の難易度、宗派やお寺との関係などによって金額は大きく変わります。
また、自治体の補助金制度や石材店の見積り内容を理解しておくことで、同じ作業でも数万円〜十数万円の差が生まれることもあります。

この記事では、墓じまいにかかる費用の相場と内訳、補助金の基礎知識、そして安く抑えるコツを詳しく解説します。

初めての方でも失敗せずに進められるよう、実際の見積書で確認すべきポイントや、費用トラブルを防ぐ注意点も紹介します。
「思っていたより費用が高かった…」と後悔しないために、まずは全体像をしっかり把握しておきましょう。

墓じまい相場の全体像と金額幅

墓じまいの費用は、人によって大きく異なります。
お墓の場所や墓石の大きさ、撤去作業のしやすさ、依頼先の業者、そして寺院との関係によって、同じ「墓じまい」でも金額に数十万円の差が生じることがあります。
ここでは、全国的な平均相場や費用の幅、金額が変動する主な要因をわかりやすく整理し、「自分の場合はいくらくらいかかるのか」を見極めるための目安を解説します。

墓じまいの平均費用は20万〜50万円前後

墓じまいの費用は、全国平均で1基あたり20万〜50万円前後が相場といわれています。
この金額には、墓石の撤去や処分費用、整地作業、閉眼供養（魂抜き）、改葬許可証の手続き費用などが含まれます。
ただし、お墓の立地や工事の難易度、依頼先の業者によって金額に幅があり、都市部では人件費や搬出コストが高く、50万円を超えるケースも少なくありません。
反対に、地方の小規模墓地や車両が入りやすい平地では、20万円台に収まることもあります。

墓石のサイズ・立地・搬出条件による価格変動

墓じまい費用が大きく変動する理由の一つが、墓石のサイズと立地条件です。
一般的に墓石が大きいほど重機や人手が必要となり、撤去や運搬のコストが上がります。
また、山間部や階段の多い墓地など、機械が入れない場所では作業員による手運びとなり、1基あたり10万円以上の追加費用が発生することもあります。
さらに、墓地までの距離が長い場合は搬出車両の台数・運搬時間も影響し、交通アクセスが良い市街地よりも費用がかさむ傾向があります。

都市部と地方の費用差・宗派や寺院による違い

地域差も無視できません。
たとえば、東京都や神奈川県などの都市部では、人件費・工事費・お布施が高めで、全体費用が60万円を超えるケースもあります。
一方、地方や郊外の共同墓地では、墓石撤去が10万円台、供養費用も2万円程度で済むことが多く、全体として30万円前後で収まることが一般的です。
また、檀家寺院の場合は閉眼供養や離檀料が発生するため、宗派やお寺との関係によっても金額が変動します。

墓じまいは「どんな工事を、どんな場所で行うか」で大きく金額が変わります。
相場を知ることは、見積もりの妥当性を判断するための第一歩です。

墓じまい費用内訳（撤去・処分・運搬・供養・事務）

墓じまいの費用には、「墓石を撤去する工事費」だけでなく、供養や手続きなど複数の項目が含まれます。
見積書を見ても一目で分かりづらい場合がありますが、構成を理解しておけば、不要な支出を避けることができます。
ここでは、主な費用項目とその相場、見積書で注意すべきポイントを紹介します。

墓じまいの主な費用項目と相場の目安

費用項目	内容	相場の目安
墓石撤去・整地費	墓石を取り壊し、更地に戻す作業。重機の使用や人手の多さで変動。	約10〜30万円
墓石・廃材処分費	撤去した墓石や基礎を処理場で処分する費用。	約3〜10万円
遺骨の取り出し・運搬費	遺骨を新しい供養先へ運ぶ際の梱包・移送費。	約1〜5万円
閉眼供養・お布施	僧侶に依頼して魂抜き（閉眼供養）を行う謝礼。宗派で異なる。	約2〜5万円
離檀料（寺院墓地の場合）	檀家契約を終了する際にお寺へ渡す御礼。	約3〜20万円
改葬許可証などの行政手続き費	改葬許可申請・受入証明書の発行など。	約5,000〜1万円
永代供養・納骨費	新しい安置先に遺骨を納める費用。	約10〜50万円

見積書で必ず確認すべき明細ポイント

墓じまいの見積書を受け取った際は、どこまでが基本料金に含まれているかを確認しましょう。
特に注意すべきポイントは次のとおりです。

• 「撤去費」と「整地費」が別計上されているか
  中には整地費用を含まず、後から追加請求されるケースもあります。
• 廃材処分費の有無
  処分場までの運搬費を含むかどうかを事前確認しておきましょう。
• 閉眼供養・お布施の扱い
  お寺に直接支払う場合と、業者を通す場合で金額が異なります。
• 改葬手続きのサポート費用
  行政書士代行を依頼すると、1〜2万円の手数料が追加される場合があります。
• 遺骨の移送・納骨先の費用
  納骨堂や永代供養墓への移動距離・安置方法によって費用差が大きい項目です。

また、「一式◯◯円」などの曖昧な見積書は、トラブルの原因になります。
工事内容・供養費・書類手続きなどを細かく明記してもらうことで、後からの追加費用を防ぐことができます。

墓じまいの費用は、「工事費＋供養費＋手続き費」で構成されています。
金額の多くを占めるのは撤去・整地などの工事関連費ですが、寺院との関係性（お布施・離檀料）や納骨先の選択によっても総額が変動します。

墓じまいに関する補助金・助成金の基礎知識

墓じまいにはまとまった費用がかかりますが、実は 一部の自治体で工事費や改葬手続き費を助成する制度が設けられています。

ただし、全国どこでも利用できるわけではなく、制度の有無・金額・対象条件は自治体ごとに大きく異なります。ここでは、補助制度の基本的な仕組みと、利用を検討する際のポイントをお伝えします。

制度の概要と実例

まず、補助金・助成金制度の目的を整理しましょう。多くの自治体が「お墓の無縁化を防ぐ」「廃棄・撤去された墓地を整備する」といった公共的な理由から、墓じまいを支援しています。

実際に制度を設けている自治体としては、たとえば 群馬県太田市では「墓石撤去にかかる費用上限20万円」の助成制度があります。また、 千葉県市川市 でも墓石撤去や区画返還促進の支援制度が確認されています。
ただし、補助額の上限は「数万円〜20万円前後」というのが一般的です。

制度があるかどうかの探し方と申請手続き

補助制度を活用するには、まずお墓がある自治体（墓地所在地）の市区町村役所や霊園管理課の公式Webページで「墓じまい 補助金／助成金」というキーワードで検索・確認することが重要です。

一般的な申請流れは以下の通りです。

1. 補助制度の有無・要件を確認
2. 墓じまいの見積書・改葬許可証など必要書類を準備
3. 工事実施前または後、所定の申請書を提出（多くは工事後支給型） 
4. 支給が決定すると、領収書・工事前後の写真等を提出し、補助金が振り込まれるケースが多いです。

申請期限・対象墓地・居住条件・使用状況などが自治体によって異なるため、申請前に最新の募集要項を確認することが肝要です。

利用時の注意点とポイント

• 補助金制度をあてにして「費用を大幅に削減できる」と過信するのは危険です。制度が「ある」自治体は少数で、対象条件が厳しいことも多いです。
• 工事実施前の申請が条件となる自治体が多く、工事完了後に申請しても対象外になるケースがあります。
• 支給額は「実費の一部」又は「上限額」であり、全額補助されるわけではありません。項目（撤去費用・改葬費用・返還使用料）も自治体によって異なります。
• 他の制度（永代供養補助など）との併用ができない場合があるため、複数の制度を検討する場合は制度の適用可否を確認することが重要です。

墓じまいの補助金・助成金制度は、費用負担を軽減するための有力な手段ですが、「制度があるかどうか」「条件を満たせるか」が大きな鍵となります。

まずはお墓のある自治体に問い合わせて制度の有無を確認し、見積もりを取る前に申請要件を把握しておくことで、安心して次のステップへ進むことができます。

墓じまいの費用を抑えるコツ

墓じまいの費用は、依頼先や作業内容によって大きく変わります。
しかし、事前の準備や依頼方法を工夫するだけで、総額を数万円から数十万円ほど抑えることも可能です。
ここでは、実際の見積や施工で役立つ、無理のない節約のコツを紹介します。

複数業者に見積もりを依頼する

もっとも効果的な方法は、相見積もり（複数業者への同条件見積）をとることです。
同じ作業内容でも、石材店や墓じまい代行業者によって見積価格が1.5倍以上異なるケースがあります。
見積書を比較するときは、

• 撤去・整地・廃材処分が「基本料金に含まれているか」
• 供養・行政書類の代行費が「別途」かどうか

を必ず確認しましょう。
また、見積もり依頼時に「他社にも相談中」と伝えることで、割引対応されることもあります。

工事の時期をずらす

墓じまいは、お彼岸・お盆などの繁忙期を避けるだけでコストを下げられる場合があります。
繁忙期は人件費や機材使用料が高くなりがちですが、冬場や初春などの閑散期であれば、日程に余裕のある業者が柔軟に見積を調整してくれることがあります。

新しい供養方法を見直す

遺骨の移動先をどこにするかも、費用全体に大きく影響します。
たとえば、従来の「個別墓」よりも、永代供養墓・合祀墓・納骨堂・樹木葬・手元供養などを選ぶと、墓地管理費や維持費が不要になり、長期的な負担を抑えられます。
改葬先の選定時には、宗派対応やアクセス面も含めて比較検討すると良いでしょう。

お布施・離檀料を事前に確認する

お寺に支払うお布施や離檀料も、総額を左右する重要な項目です。
特に離檀料は「お気持ちで」と言われることが多く、相場が分かりづらい部分。
あらかじめ相場（数万円〜十数万円）を把握し、金額の根拠や支払う目的を明確にしておくことで、後からのトラブルや過剰な支払いを避けることができます。

自治体の補助制度を活用する

一部の自治体では、墓じまい費用の一部を助成する制度があります。
助成対象は、墓石撤去費・改葬手続き・永代供養への改葬などが中心です。
補助金は工事前の申請が条件になることが多いため、見積取得後すぐに自治体窓口で確認するのがポイントです。

無駄な付帯作業を減らす

墓じまいには「遺骨取り出し・運搬・申請書類作成」など、細かな作業が含まれます。
業者任せにせず、自分でできる部分（行政申請・改葬許可証取得など）を分担すれば、数千円〜数万円の節約につながります。
「お任せパック」などの一式プランを選ぶ場合も、含まれる範囲をしっかり確認しましょう。

墓じまいの費用は、「比較」「時期」「準備」の3つを意識することで大きく抑えられます。
複数業者の見積を取り、寺院・行政・改葬先の手続きまで全体像を理解して進めることが、結果的にもっとも安心で経済的な方法です。無理のないペースで、信頼できる業者と一緒に進めましょう。

墓じまいの費用よくある質問（誰が払う？ローンは？）

墓じまいを進める際に、最も多い質問が「費用は誰が負担するのか？」という点です。
また、まとまった支出が必要な場合、「分割払いやローンは使えるのか」も気になるところ。
ここでは、実際によく寄せられる質問に沿って、支払いの考え方やトラブルを防ぐポイントを整理します。

墓じまいの費用は誰が払うの？親族でどう分担する？

基本的に、墓地の名義人（使用権者）が墓じまいの費用を負担します。
ただし、親族間で相談し、複数人で分担することも可能です。
名義人が高齢であったり、すでに亡くなっている場合には、「お墓を引き継ぐ立場の人（長男・長女など）」が実務上の責任を持つことが多いです。

もし親族間で負担割合を決める場合は、トラブル防止に気をつけましょう。

• 各自の負担額を明文化（メモ書きやLINEでも可）
• 改葬先・見積金額・施工日程を共有

「誰が決めたのか分からないまま費用を払う」ことが最も揉めやすいケースです。

離檀料やお布施は誰が支払う？

お寺の檀家として墓じまいを行う場合、離檀料や閉眼供養のお布施は、原則として名義人または代表者が支払います。
ただし、親族全員が参列して供養を行う場合は、香典のように人数で折半する例もあります。
お布施の相場は2〜5万円、離檀料は3〜20万円前後と幅があるため、事前にお寺と相談し、納得のうえで支払うことが大切です。

ローンや分割払いはできる？

近年では、墓じまい専門業者や石材店でも分割払いや提携ローンに対応しているところがあります。
特に工事費や撤去費が20〜50万円を超える場合、クレジット会社と連携した「墓じまいローン（実質年率3〜6％前後）」が利用できるケースもあります。
一方で、供養費やお布施などの「宗教行事関連の費用」は、現金払いを求められるのが一般的です。

ローンを利用する際は、下記を必ず確認しましょう。

• 金利・手数料の総額
• 支払回数と完済時期
• 途中解約の可否

また、業者ローンよりも銀行系のフリーローンの方が低金利になる場合もあるため、比較検討が有効です。

費用トラブルを防ぐためにできること

• 見積書・契約書を必ず残す（口約束は避ける）
• 親族全員にLINEやメールで共有（後から「聞いていない」を防止）
• 支払い証明（領収書・振込記録）を保管

これらを実践しておけば、後からの「払った・払っていない」問題を防げます。
また、トラブルが発生した場合は、行政書士や消費生活センターへの相談も有効です。

墓じまいの費用は、「誰が払うか」を早い段階で明確にし、お布施・離檀料・施工費をそれぞれ分けて整理しておくのが安心です。
ローンや助成金制度も上手に活用すれば、負担を分散しながら無理のない進行が可能になります。
最終的には、家族や親族全員が納得できる形で進めることが、トラブルを防ぐ最大のポイントです。

まとめ：墓じまい費用の全体像と安心して進めるポイント

墓じまいは「お墓を片づける」だけではなく、供養・工事・手続き・家族の合意といった多くの工程が関わる一大イベントです。
費用面だけでなく、精神的な整理も必要になるため、全体像を把握し、落ち着いて進めることが大切です。

墓じまい費用の目安を知り、見積を比較する

全国的な墓じまいの費用相場は、おおむね20万〜50万円前後。
ただし、墓石の大きさ・立地・寺院の関与・遺骨の数などによって、実際の金額は上下します。
まずは「撤去・供養・改葬・書類手続き」それぞれの内訳を把握し、複数業者から見積をとって比較することが出発点です。

余裕をもったスケジュールと準備を

行政書類（改葬許可証など）の取得や、お寺・親族との調整には時間がかかります。
最低でも2〜3か月の余裕を持った計画を立てると、焦らず丁寧に進められます。
とくにお盆やお彼岸は混み合うため、早めの準備が安心です。

家族・寺院・業者との連携が安心の鍵

費用トラブルの多くは「連絡不足」から生まれます。
家族や親族間で役割と負担を決め、寺院や石材店とも文書・LINE・メールでやりとりを残すのがおすすめです。
もし不安がある場合は、行政書士や終活アドバイザーに相談するのも良いでしょう。