墓じまい体験談｜かかった費用・親族調整・後悔しない進め方Q&A

「墓じまいをしたいけれど、実際どれくらい費用がかかるの？」「親族が反対して進まない…」
そんな不安を抱える方は少なくありません。

この記事では、実際に墓じまいを経験した人の体験談をもとに、費用の内訳や親族との話し合いのコツ、手続きで大変だったポイント、そして「やってよかった」と感じた人・「もう少し準備すればよかった」と後悔した人のリアルな声をまとめました。

また、改葬許可の申請や僧侶へのお布施、石材店とのやり取りなど、体験者が実際につまずいた具体的な場面も紹介。

最後には、「墓じまいで後悔しないための3つのポイント」と、よくあるQ&A（親族調整・費用負担・服装など）も掲載しています。

実際に墓じまいを行った人の体験談

墓じまいを経験した方々の声を聞くと、共通して「思った以上に準備が必要だった」と語る人が多いです。
ここでは、費用の実例と親族調整のエピソードを中心に、リアルな体験談を紹介します。

墓じまいにかかった費用の実例（30万〜80万円）

ある60代女性（大阪府在住）のケースでは、地方にある先祖代々の墓を撤去して永代供養へ移したところ、総費用は約45万円ほど。内訳は次の通りでした。

• 墓石撤去・運搬費用：30万円
• 閉眼供養（お布施含む）：5万円
• 改葬許可など行政手続き関連：1万円
• 新しい納骨先（永代供養料）：9万円

比較的コンパクトな墓石でも、搬出条件や立地によって見積もりは変わります。
「墓じまいの費用相場は30万〜80万円前後」というのは、複数の体験談でもほぼ共通する範囲です。

複数の石材店に相見積りを取ることで、最大で10万円以上の差が出ることもあります。
“見積書の明細確認”は後悔を防ぐ第一歩です。

墓じまいで親族と話し合ったときの工夫と注意点

最も時間がかかったのは、費用よりも親族間の合意形成という声が多く聞かれます。

ある50代男性（神奈川県）は、兄弟や叔母と何度も話し合いを重ね、最終的に「改葬後の納骨先を全員で見学して決定」する形で落ち着いたといいます。

「母の代で墓を閉じようと思ったけれど、叔父から“勝手に決めないでくれ”と言われて一度白紙に戻しました。
でも、皆で現地を見て“このお寺なら安心だね”と合意できたことで、結果的に良い形になりました。」

このように、

• 写真や資料を共有して透明性を保つ
• 費用負担を明確に分ける
• お寺や石材店の第三者的意見を交える

といった工夫が、トラブル防止に有効です。

墓じまいは、単なる作業ではなく“家族の意思を整理するプロセス”でもあります。
費用や手続きよりも、気持ちのすり合わせに時間をかけることが、結果的に最も大切なステップなのです。

墓じまいの手続きで大変だったこと・意外な落とし穴

多くの体験者が口をそろえて言うのが、「実際にやってみると、思った以上に“段取り”が多かった」ということです。
費用や工事よりも、書類手続き・寺院対応・スケジュール調整の部分で時間と手間がかかるケースが目立ちます。

改葬許可申請の書類ミスと発行待ち

墓じまいを行う際に必ず必要となるのが「改葬許可証」。
この書類を発行してもらうまでの流れに、思わぬ落とし穴があります。

「申請書の“受入証明書”と“埋葬証明書”を別々の寺で書いてもらう必要があり、
どちらも印が違うと言われて役所に出し直しになりました。結果、1週間以上ロスしました。」

改葬許可申請は、旧墓地の管理者（寺院など）と新しい納骨先の双方の署名・押印が必要です。
書式の違い、印鑑の不備、日付の前後関係など、細かなミスで再提出になる例も少なくありません。

僧侶への依頼タイミングが合わず日程が延びた

閉眼供養（魂抜き）のスケジュール調整も、多くの人が苦労するポイントです。

特に檀家寺の住職が多忙な場合、「お経を上げてもらえる日」が限られており、石材店の撤去日と合わず、1か月以上ズレ込むこともあります。

「工事の予約は取れたのに、お坊さんの予定が合わず延期になりました。
家族の都合も重なって、最終的に秋のお彼岸明けになってしまいました。」

閉眼供養は「墓石撤去前に必ず行う儀式」なので、僧侶・石材店・親族の予定を3方向で調整することが不可欠です。

業者選びと見積もり比較を怠った結果、追加費用が発生

石材店による墓石撤去費用は、現地条件によって大きく変動します。
「立地が山間部」「クレーン車が入れない」「基礎が厚い」などの理由で、当初見積より10万円以上高くなったケースも。

「最初に提示された金額だけ見て契約したら、後から“運搬距離が長いので追加3万円”と言われてしまいました。」

見積もりは最低でも2社以上を比較し、「撤去・運搬・整地・廃棄」のそれぞれの項目を明確に確認することが大切です。

墓じまいで後悔しないための3つのポイント

墓じまいを終えた人の多くが語るのは、「もっと早く準備しておけばよかった」「相談しておけばよかった」という後悔です。費用や作業よりも、“心の準備”と“情報整理”の不足が失敗の原因になることが少なくありません。
ここでは、体験談から見えてきた「後悔しないための3つのポイント」を紹介します。

① 早めに親族・菩提寺と共有し、合意を得る

墓じまいで最も多いトラブルが、親族間や寺院との認識のズレです。
「報告が遅れて反対された」「寺への連絡が最後になり離檀料トラブルになった」などの声が後を絶ちません。

「叔母に相談せずに進めてしまい、“勝手にやったのか”と責められました。
早めに共有しておけば、もっと穏やかに進められたと思います。」

対策としては、

• 最初の段階で“墓じまいを検討している”ことを伝える
• 寺院へも早めに「相談ベース」で話を持ちかける
• 可能であれば、LINEグループなどで進行状況を共有する

といった「オープンな情報共有」が効果的です。
サプライズではなく、共感ベースで進めることが、何よりも重要です。

② 永代供養・納骨堂など「次の供養先」を早めに決める

「墓じまいした後にどうするか」を決めずに進めると、後悔につながります。
実際、改葬許可を申請するには新しい納骨先の“受入証明書”が必要です。

「撤去業者を決めてから永代供養先を探し始めたので、工期が1か月ずれました。」

供養先を選ぶときは、費用だけでなく以下の3点を必ずチェックしましょう。

チェック項目	確認すべき内容
費用	永代供養料・管理費・法要費の総額を確認
アクセス	家族が年に1回でも訪れやすい立地か
宗派・方針	檀家制か宗派不問か、合祀時期のルール

「場所」「信仰」「費用」の3点を軸に、家族全員が納得できる場所を早めに探しておくことが、スムーズな進行につながります。

③ 見積もりと契約内容を細かくチェックする

意外と多いのが、“見積もりを確認せず契約して後から追加費用が発生した”という後悔です。
特に「撤去費用」「運搬費」「整地」「廃材処分」などの名目があいまいなままだと、作業後に「別途請求」が起きやすくなります。

「工事後に“基礎が深かったので＋5万円”と言われて驚きました。
ちゃんと書面で確認しておけばよかったです。」

見積段階で以下を必ず確認しましょう。

• 総額の内訳が明示されているか（撤去・運搬・整地・供養など）
• “追加費用発生条件”が書かれているか
• 工事後の写真提出・完了報告が含まれているか

相見積もりを2〜3社取り、条件と価格の両面で比較することが後悔を防ぐ最善策です。

よくある質問Q&A（墓じまい中によくある悩み）

墓じまいは一生に一度あるかどうかの経験です。
そのため「どう進めるのが正しいのか」「誰に相談すればいいのか」と悩む人が多いのも当然です。
ここでは、墓じまいのよくある質問をQ&A形式で整理しました。

Q1. 親族が反対している場合、どうすればいい？

A. まずは感情よりも“情報共有”を優先しましょう。

墓じまいのトラブルで最も多いのが、親族間の意見の食い違いです。
「勝手に決めた」「聞いていない」という不満が原因で関係がこじれるケースもあります。

対処法としては、

• 墓石や管理費の現状、維持が難しい理由を具体的に共有する
• 永代供養・納骨堂など代替案を一緒に検討する
• 第三者（お寺・行政書士・終活相談員など）を交えて話す

ことが効果的です。

感情的な反対には、まず「情報の透明化」で対応することが大切です。

Q2. 墓じまいの費用は誰が払うの？

A. 一般的には「墓の名義人（祭祀承継者）」が主体となって支払います。

ただし、名義人1人で負担する義務はなく、実際には親族で話し合いのうえ費用を分担するケースが多いです。

例：兄弟3人で30万円を分割、親族で折半、子ども世代が負担 など

金銭面でのトラブルを避けるためにも、
「誰がいくら負担するのか」を明文化しておくと安心です。
領収書や見積書は、後で確認できるように保管しておきましょう。

Q3. お布施はいくら包めばいい？どんな封筒を使う？

A. 一般的な相場は1〜5万円。白無地または御布施袋を使用します。

閉眼供養（魂抜き）や離檀の際には、お布施が必要です。
金額の目安は以下の通りです。

目的	相場	表書き例
閉眼供養（魂抜き）	1〜3万円	御布施／閉眼供養料
離檀料（寺院へのお礼）	3〜10万円	御礼／離檀料
永代供養依頼時	5〜20万円	永代供養料

「お気持ちで」と言われた場合でも、相場を確認して包むと失礼になりません。

Q4. 遠方にいても墓じまいの手続きはできる？

A. 委任状を使えば可能です。行政書士への依頼も有効です。

墓が実家や地方にある場合、遠方から進める人も増えています。

• 改葬許可の申請は、郵送・代理人申請が可能な自治体が多い
• 閉眼供養は家族の代表者のみが立ち会っても問題なし
• 撤去工事は石材店が立ち会い・写真報告で完結できる

物理的に現地に行けなくても、オンライン・郵送・専門家サポートで完了できます。

Q5. 墓じまい中の服装やマナーで気をつけることは？

A. 基本は「控えめで清潔感のある服装」。喪服でなくても構いません。

閉眼供養や納骨の儀式では、黒や紺などの落ち着いた服装を選ぶのが無難です。
派手なアクセサリーや香水は避け、数珠とハンカチを持参します。

季節を問わず「喪服ほど重くなく、普段着よりも丁寧」な装いを意識すると安心です。

まとめ：体験者に学ぶ後悔しない墓じまいの進め方

多くの人が墓じまいを終えたあとに感じるのは、「思っていたより大変だったけれど、やってよかった」という安堵の声です。
費用や手続きの手間はかかりますが、家族で話し合いながら進めることで、先祖への感謝とこれからの供養の形を改めて見つめ直す機会にもなります。

後悔しない墓じまいを進めるためには、次の3つが重要です。
まず、焦らず順序立てて進めること。書類や儀式、工事などを段階的に整理し、早めにスケジュールを確保しておくことでトラブルを防げます。
次に、家族全員の気持ちを置き去りにしないこと。決定前に情報を共有し、意見を聞く姿勢が信頼を生みます。
そして、費用や見積もりを「感覚」ではなく「数字」で確認すること。業者・僧侶・行政のそれぞれにかかる金額を可視化すれば、余計な誤解を防げます。

以下のチェックリストを一つずつ確認しながら進めれば、初めての方でも安心して墓じまいを完了できます。

墓じまいは「お墓を閉じる」行為ではなく、これまで受け継いできた想いを新しい形でつないでいく過程です。
手間をかけて丁寧に進めた分だけ、心からの納得と感謝が残ります。