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墓じまい後の遺骨はどうする?永代供養・納骨堂・樹木葬・散骨を比較

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墓じまい後の遺骨はどうする?
墓じまい後の遺骨はどうする?

墓じまいを終えたあと、「遺骨をどうすればいいのか」と悩む方は少なくありません。
永代供養や納骨堂、樹木葬、海洋散骨、手元供養など、現代ではさまざまな選択肢がありますが、それぞれに費用・管理方法・宗教的な考え方の違いがあり、どれを選ぶべきか迷う人も多いのが実情です。

また、墓じまいには「お墓の撤去・処分」や「遺骨の改葬」といった手続きも伴うため、感情面だけでなく、現実的な費用や維持面も踏まえて判断することが大切です。

この記事では、墓じまい後の遺骨の行き先として代表的な6つの方法(永代供養・納骨堂・樹木葬・海洋散骨・手元供養・粉骨)を比較し、それぞれのメリット・デメリット、向いている人・向かない人の特徴を整理。
後悔しない選択のために押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

目次

墓じまい後の遺骨の選択肢と向き不向き

墓じまいを終えると、これまでお墓に納めていた遺骨をどのように扱うかを決める必要があります。
かつては「新しいお墓に移す(改葬)」ことが一般的でしたが、近年は永代供養・納骨堂・樹木葬・海洋散骨・手元供養・粉骨など、ライフスタイルや家族構成に合わせた多様な選択肢が広がっています。

以下では、それぞれの方法の特徴と「どんな人に向いているか・向いていないか」を整理します。

永代供養|お寺や霊園が供養を引き継ぐ安心型

概要お寺や霊園が遺骨を預かり、永続的に供養してくれる方法。合祀(他の遺骨とまとめて納骨)か、一定期間の個別安置を選べます。
費用目安10万〜50万円程度(合祀型は低め、個別型は高め)
向いている人後継者がいない、子どもに負担をかけたくない人
向かない人将来的に遺骨を移す可能性がある人、個別の墓参を望む人

納骨堂|都心部に多い「室内型の墓所」

概要屋内施設に遺骨を保管するタイプ。カードやICチップで遺骨が自動搬送されるタイプもあります。
費用目安30万〜100万円前後(契約年数によって変動)
向いている人天候を気にせずお参りしたい、都心に居住している人
向かない人伝統的な墓参りを重視する人、郊外での供養を希望する人

樹木葬|自然に還ることを選ぶナチュラル供養

概要墓石を建てず、シンボルツリーや花木の下に遺骨を埋葬する方法。個別区画型と共同型があります。
費用目安20万〜60万円程度(立地・管理形態で変動)
向いている人自然志向が強い、宗教色を抑えたい人
向かない人伝統的な法要や墓碑を重視する人

海洋散骨|海に還る自由な供養

概要粉骨した遺骨を海へまく方法。業者が代行する「委託散骨」と家族が同乗して行う「乗船散骨」があります。
費用目安5万〜20万円前後
向いている人お墓を持たず自然に還りたい人、海が好きだった故人
向かない人遺骨を手元に残したい人、宗教儀式を重視する家族

手元供養|遺骨を身近に感じて供養する

概要遺骨の一部を自宅で保管したり、アクセサリーやミニ骨壺に納めて供養するスタイル。
費用目安数千円〜数万円程度(容器・デザインによる)
向いている人故人を身近に感じたい、個人供養を大切にしたい人
向かない人形式的な仏事や宗教儀式を重視する家庭

粉骨(ふんこつ)|他の供養方法と組み合わせる準備工程

概要遺骨を粉状にし、散骨・手元供養・自宅保管に適した形にする工程。法律的には「再火葬」と異なり、業者に委託が可能です。
費用目安1〜3万円前後
向いている人海洋散骨・樹木葬・自宅供養を希望する人
向かない人遺骨の形を保ちたい、従来の納骨を希望する人

墓じまい後の遺骨供養は、かつての「墓を建て直す」だけではなく、家族の事情や生き方に合わせた柔軟な選択が可能になっています。大切なのは「誰のために、どんな想いで供養するのか」という軸を明確にすることです。

墓じまい時の墓石撤去・処分・リメイク方法

墓じまいでは、遺骨の改葬だけでなく、墓石の撤去・処分も避けて通れない工程です。
長年守ってきたお墓を片付けるという行為には心理的な負担も伴いますが、事前に流れと費用の目安を理解しておくことで、トラブルや想定外の出費を防ぐことができます。

墓石撤去の流れと費用の目安

墓石撤去は、主に石材店(墓地管理業者)が行います。作業内容は「撤去」「運搬」「更地化(整地)」が基本で、以下のような流れになります。

STEP
現地確認と見積もり

墓地の立地(山間部・都市部)、通路の広さ、墓石の大きさによって費用が変動します。

STEP
撤去作業

重機が入れる場合はクレーンで吊り上げて撤去。狭い区画では人力作業になるため時間と費用が増えます。

STEP
基礎コンクリートの解体と整地

墓地を「更地」に戻すまでが一般的な契約範囲です。

費用相場
  • 小型の墓(1㎡未満):10〜20万円前後
  • 標準的な墓(2㎡程度):20〜40万円前後
  • 大型墓・地方墓地(5㎡以上):50万円を超えることも

※石材の種類(花崗岩など)や重機搬入の可否で金額は大きく変わります。

墓石の処分方法と依頼先の注意点

撤去した墓石は、基本的に再利用はせず「処分(粉砕・再資源化)」されます。
ただし、業者によっては産業廃棄物として処理する場合と、墓石供養を経て処分する場合があり、依頼前に確認が必要です。

確認すべき3つのポイント
  • 見積書に「撤去」「運搬」「処分費」が個別に記載されているか
  • 墓地管理者(寺院・霊園)の許可を得ているか
  • 撤去後の更地を誰が確認・引き渡しするか(寺院立ち会い有無)

この部分を曖昧にすると、「処分費が別請求だった」「整地されていなかった」といったトラブルに繋がります。

墓石リメイクという新しい選択肢

近年では、「思い出を形に残したい」という想いから、墓石を処分せずにリメイク(再利用)するケースも増えています。
たとえば、墓石の一部を使って次のような形にすることが可能です。

  • 小さな記念碑や供養塔として自宅や庭に設置
  • 仏壇・仏具・ペーパーウェイトなどに加工
  • 故人の戒名や法名を刻んだメモリアルプレートとして残す

ただし、宗教的な観点からリメイクを好まない寺院もあるため、必ず事前に菩提寺や石材店へ相談しましょう。
リメイク費用は数万円〜十数万円程度が目安です。

墓じまい時の墓石撤去は、金額よりも「内訳の明確さ」と「実績ある業者選び」が大切です。
見積の段階で、撤去範囲・立会いの有無・処分方法まで確認しておくことで、後悔のないかたちでご先祖を送り出すことができます。

墓じまい後の供養先を選ぶチェックポイント(費用・アクセス・宗教観)

墓じまい後の遺骨供養は、「どこに納めるか」を決めることが大きな分岐点になります。
選択肢は永代供養・納骨堂・樹木葬・散骨など多様ですが、どれを選ぶにしても大切なのは、家族の価値観と現実的な条件を両立できるかどうかです。

ここでは、失敗しないための3つの視点――費用・アクセス・宗教観(価値観)を中心に、具体的なチェックポイントを整理します。

① 費用と維持コストで比較する

まず確認すべきは「初期費用」と「維持費(管理料)」です。
永代供養は一括費用で済む場合が多い一方、納骨堂や個別墓は年間の管理費が必要になることもあります。

供養方法初期費用の目安年間管理費特徴
永代供養(合祀)約10〜30万円なし〜数千円費用を抑えて長期供養が可能
永代供養(個別)約30〜80万円数千円〜1万円一定期間後に合祀されることが多い
納骨堂約30〜100万円0〜1万円前後契約期間によって更新費が発生
樹木葬約20〜60万円なし〜数千円永代供養とセットの場合も多い
散骨・手元供養約3〜20万円なし維持費がかからない自由な形式

費用だけで決めるのではなく、「将来的に誰が維持・訪問できるか」も合わせて検討しましょう。
特に“管理が要らない=家族が関われない”という側面もあるため、「つながりを保てるかどうか」を重視するのが後悔しないポイントです。

② アクセス・立地・継承のしやすさ

供養先を決める際に意外と見落とされるのが「アクセス」です。
永代供養墓や納骨堂は都市部に多く、交通の便は良いですが、地方に住む親族には不便なことも。
逆に郊外の霊園は費用が安い一方で、冬季の積雪や交通手段の問題から訪問が難しくなるケースもあります。

チェックリスト例
  • 高齢の家族でも訪問しやすい場所か
  • 駐車場・公共交通の利便性はあるか
  • 供養先の運営母体(宗教法人・自治体・民間)は安定しているか

さらに、供養先によっては契約者本人しか手続きできない場合もあるため、継承が不要な「永代供養型」か、更新型の「納骨堂」かを確認しておくことが大切です。

③ 宗教観・家族の価値観に合わせた選び方

最後に重要なのが、宗教や家族の価値観に合うかどうかです。
たとえば、浄土真宗では「魂抜き」を行わない一方で、曹洞宗や真言宗では閉眼供養を重視するなど、宗派によって供養の考え方が異なります。

また、

  • 「自然に還りたい」→ 樹木葬・散骨
  • 「伝統を守りたい」→ 永代供養墓・納骨堂
  • 「家族でいつでもお参りしたい」→ 屋内納骨堂・個別型永代供養

といったように、目的と宗教観のバランスを取るのが理想です。

家族の中で意見が分かれる場合は、最初に「誰の意思を尊重するのか」を明確にしておくことで、後々のトラブルを防げます。

供養先の選択は、「安いから」「近いから」といった単一の基準で決めるべきではありません。
重要なのは、感情・費用・利便性の3点をバランス良く考えることです。
家族全員が納得できる形を選ぶことこそが、故人への最大の供養になります。

よくある質問(骨壺サイズ・分骨・手元供養の作法)

墓じまい後の遺骨に関する疑問は、人によってさまざまです。
「骨壺のサイズはどうする?」「分骨しても大丈夫?」「自宅に置いて問題ない?」など、ちょっとした判断でも宗教的・法律的な背景が関係することがあります。
ここでは、特に質問の多いテーマを中心に解説します。

Q1. 骨壺のサイズはどのくらいが一般的ですか?

日本の骨壺は、地域や火葬場の慣習によってサイズが異なります。
一般的には、本骨壺(全骨)6〜7寸(直径18〜21cm)が主流ですが、樹木葬・納骨堂・永代供養などでは、3〜5寸(直径9〜15cm)の小型壺が使われるケースも増えています。

霊園・供養タイプ推奨サイズ備考
一般墓・改葬先の墓地6〜7寸火葬場で全骨納めの場合
永代供養・納骨堂3〜5寸区画・ロッカーに合わせる
手元供養・分骨1〜2寸以下ミニ骨壺やカプセルタイプ

骨壺のサイズを変更する場合は、粉骨(ふんこつ)を行うことで小型化が可能です。
納骨先の仕様(骨壺サイズ制限)を必ず事前に確認しておきましょう。

Q2. 分骨しても問題はありませんか?手続きは必要?

分骨(ぶんこつ)とは、遺骨を複数の場所に分けて納めることです。
法律上、分骨は可能であり、「分骨証明書」を取得すれば正式な手続きとして扱われます。

分骨の流れ(例)
  • 現在の墓地・納骨堂の管理者に「分骨したい」と申し出る
  • 管理者が発行する「分骨証明書」を受け取る
  • 新しい納骨先や手元供養用の壺に納める

ただし、分骨には宗派による見解の違いがあります。

  • 仏教(多くの宗派):問題なし(供養の心があれば可)
  • 神道・キリスト教:慎重に行うことを推奨

複数の親族で分骨する場合は、トラブル防止のために必ず同意を得るようにしましょう。

Q3. 自宅に遺骨を保管(手元供養)しても大丈夫?

法的には、自宅で遺骨を保管することは違法ではありません。
ただし、自治体によっては「墓地埋葬法」の解釈上、自宅敷地への埋葬は不可となるため、“埋める”のではなく“保管する”形を守る必要があります。

手元供養には以下のような形があります。

  • ミニ骨壺に納めて仏壇や棚に安置
  • 遺骨を加工したアクセサリー(ペンダント・リング)
  • 一部を手元に残して、残りを永代供養・散骨

自宅で保管する場合は、温度・湿度管理に注意し、密閉性の高い骨壺やシリカゲル入りのケースを選ぶと安心です。

Q4. 分骨や手元供養をすると「成仏できない」と言われました。本当ですか?

これは宗教的な誤解の一つです。
多くの宗派では、「供養の心があれば、場所に関係なく故人は成仏する」とされています。
分骨や手元供養は、故人を近くに感じるための新しい形であり、現代の家族構成や生活スタイルに合わせた“心の供養”の一種といえます。

ただし、菩提寺との関係がある場合は、事前に一言相談しておくと安心です。
トラブルを避け、僧侶にも理解を得たうえで行うのが理想です。

墓じまい後の遺骨をどう扱うかは、宗教的な正解よりも、家族が納得して心穏やかに供養できるかが大切です。
形式やサイズにとらわれず、「何を大切にしたいのか(つながり・安心・自然回帰)」を基準に選ぶことで、あなたと家族にとって最もふさわしい供養の形が見えてきます。

墓じまい後の供養方法の比較表(初期費用・維持費・儀礼負担)

墓じまい後の遺骨供養は、「永代供養」「納骨堂」「樹木葬」「散骨」「手元供養」などさまざまな方法があります。
それぞれに費用の目安や儀礼の負担、管理のしやすさが異なるため、家族の価値観と生活環境に合った供養方法を選ぶことが大切です。

以下では、主要な供養方法を初期費用・維持費・儀礼負担・継承の有無の観点で比較します。

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供養方法初期費用の目安年間維持費儀礼・法要の負担継承の必要性特徴
永代供養墓(合祀型)約10〜30万円なし〜数千円不要費用を抑えつつ長期供養。合同供養が一般的。
永代供養墓(個別型)約30〜80万円数千円〜1万円不要一定期間個別安置後に合祀が多い。参拝性◎。
納骨堂(屋内・自動搬送式等)約30〜100万円0〜1万円前後不要〜要都心でアクセス良。契約年数・更新条件に注意。
樹木葬(個別区画型)約20〜60万円なし〜数千円不要自然志向で人気。宗派不問が多い。
海洋散骨約5〜20万円なし不要維持費不要・自然に還る。粉骨が前提。
手元供養(自宅保管・アクセサリー)数千円〜10万円なし不要遺骨を身近に。永代供養や散骨と併用しやすい。
改葬(新しい墓へ移す)約50〜150万円あり(管理費)伝統的。親族合意・改葬許可など手続き多め。

比較から見える傾向と選び方のヒント

費用を抑えたい人には「永代供養墓(合祀型)」や「海洋散骨」

維持費がほとんどかからず、後継者の負担を減らせます。

家族で参拝の場を残したい人には「納骨堂」や「樹木葬」

アクセスや宗教的雰囲気を確認して選ぶと後悔が少ないです。

故人を身近に感じたい人には「手元供養」

他の方法と組み合わせることで、心の整理がしやすくなります。

菩提寺との関係を続けたい人は「改葬」

ただし、墓地の維持費・管理契約に注意が必要です。

検討時の注意点

  • 「永代」と書かれていても、実際は一定期間(33回忌など)で合祀される場合があります。契約内容を必ず確認しましょう。
  • 管理主体(お寺・自治体・民間)によって、供養方針や対応年数が異なるため、運営実績を確認することが大切です。
  • 相見積り・現地見学を行うと、立地や雰囲気の違いが分かりやすくなります。

費用や形式を比較しても、最終的に大切なのは「家族が心から納得できる形かどうか」です。
たとえ安価でも心残りがあれば後悔につながり、反対に費用が高くても納得できる供養なら安心感があります。
墓じまい後の供養先は、「金額」ではなく「心の整理の形」として選ぶことが、本当の意味での“墓じまいの完結”につながります。

まとめ:遺骨の行き先は「家族全員の納得」がいちばん大切

墓じまい後の遺骨をどう供養するか――
それは単に「お墓を片付ける」という作業ではなく、家族の絆と想いをどう未来へつなぐかという大切な選択です。

永代供養・納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養など、どの方法にも利点と注意点があります。
大切なのは、「誰にとっても納得できる形」を見つけること。
費用や手間を基準にするだけでなく、「故人の希望」「家族の生活」「信仰や価値観」など、複数の視点から総合的に判断することが後悔のない墓じまいにつながります。

また、墓じまいの過程では

  • 墓石の撤去・処分に関する見積確認
  • 改葬許可や離檀の手続き
  • 供養先の契約内容や永代供養年数の確認

といった実務的なポイントも見落とせません。
不安や迷いがある場合は、寺院・行政・石材店・葬送相談員など専門家に早めに相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

墓じまいは「終わり」ではなく、新しい供養のかたちへの“はじまり”です。
家族全員が心から納得できる選択を重ねることが、何よりの供養であり、故人への感謝の証となるでしょう。

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